毎月勤労統計調査に関する諸問題
毎月勤労統計調査の問題発覚
平成30年12月に発覚した、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の調査方法が誤っていたことが分かり、失業給付等の過少給付に繋がったとして大きな話題になりました。
毎月勤労統計調査は従業員の賃金の変化等を把握するために厚生労働省により実施されています。
この調査対象は全国の従業員5人以上の事業所で、5~499人の事業所は無作為に抽出し、500人以上の事業所すべてと合わせて約3万3,000事業所となります。
調査は都道府県を通じて実施していますが、15年前の2004年から東京都内の従業員500人以上の事業所については3分の1程度しか調査をしていませんでした。その理由は明らかにされていません。
問題が発覚したきっかけは、昨年12月、厚生労働省の担当職員が総務省の統計委員会のうちあわせで、「東京以外の地域でも500人以上の事業所について抽出調査を実施したい」と述べた事だとされています。
これが重大なる違反と指摘され問題が表面化しました。
過少給付延べ1,973万人、567億円
規模の大きな企業は賃金水準が高い傾向にあり、このため多くの事業所を調査していなかった事により統計の平均給与額が本来よりも低く算出されました。これが雇用保険や労災保険の給付する際の算定根拠になっているので給付水準が下げられました。
職員は不適切と知りながら組織全体での情報共有はなされていなかったと言います。
過少給付の対象者は延べ1,973万人、総額は537.5億円に上ります。政府は過少給付のあった方には不足分を追給します。
雇用保険や労災保険の給付に影響
過少給付で多かったのは雇用保険で延べ約1,900万人に計約280億円、休業補償等労災給付は延べ約72万人に計約241.5億円ありました。
船員保険でも約1万人に約16億円の不足がありました。追加給付1人当たり平均額は雇用保険が1,400円、労災年金給付で9万円に上りました。
統計調査が実態とかけ離れていたのでは本来の給付に大きく影響してしまいます。1人1人の不足金額は大きくないものの、統計に対する信頼を失わせた事が大きいと言えるでしょう。